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    「幽霊に会えたら」


    「幽霊に会えたら」
     
    バンドを組んで9年。
    当たり前のようにバンドをしていた。次いつスタジオ入るー?なんて他愛ない会話も、機材車に揺られながらの座席戦争も、ライブ前の円陣も、打ち上げで泥のようにお酒を飲み交わすことも。
    ”次”があると思ってた。ずっと続くと思ってた。他のバンドのメンバー脱退のニュースを見ても「大変だねえ」なんてエラく他人事で話していた。決しておれらには降りかかることのない話だと思ってた。テレビで流れる事故のニュースや、宝くじが当たった人の特集のように、他人事に思ってしまっていた。でも、おれらに降りかかった。当たり前が崩れ去った。まさかおれらに。
    そんな現実が目の前にあった。努力ではどうにもならないこともあると知った。バンドからメンバーが抜ける。この9年が幻かのように思えた。
     
    メンバーが辞めること、辞める日が大まかに決まってから1週間ほど経った時だった気がする。
    今後どうしようか、おれと黒ととーるの3人で話をするために集まった。自由が丘のカフェ。
    集まって飲み物だけ頼んで、喋らなかった。
    喋れなかったの方が正しいのかも。
    形容し難い不安と、ただ迫り来るXデーに向かっていくのを見ていることしか出来なかった。
    携帯をいじるのにも限界がきて、それとなく会話を始めた。
    とーるがどうでもいい、ほんとにどうでもいい話をしてくれた。
    まじでどうでもよかったけど、どこか救われた。
     
    さて、これからどうしようか。
     
    みんなで話をした。音楽でメシを食う、と決めた18の頃から一周回って、音楽でメシを食わないことを頭の片隅に置かなきゃいけない現実がどうしようもなく嫌だった。
    それに重ねて大人ってのは嫌なもんで、生活だなんだってのを考えなくちゃいけなかったり。
    あーヤダヤダ。気にしたくもない。でも、気にしなきゃいけない。
    各々が未来に対して、色んなことを思ってた。ただ、漠然とあったのは「ここで終わりたくねえよな」ってことだった。解散して、華々しく散ろうということも考えたけど、これでおれらがバラバラになることほど悲しいことはないじゃないかと話した。あ、でも解散して、また3人でゼロからバンド始めようもあったな。あれはあれで馬鹿っぽくて、無鉄砲な感じで好きだった。
    でも、ハウルで作ってきた曲は大事にこれからも歌いたいよなってことで却下になったけど。
    とにかく、おれらがここでお別れすんのはやめようぜっていうのが結論だった。寂しいからね。
     
    そして、話は次へ進み、メンバーどうしようだった。
    正直、3人でも続けられた。
    時代として、バンドに絶対4人いなきゃとか、そういうのはないと思うから、おれらでリスタートすることも考えたけど、やっぱりメンバーとして迎え入れられたら、バンドとして、強くなる気がして。
     
    もうここは精神論。もはや気持ちの問題。でも入れたかったの。新しい仲間を。
    そして、みんなで探し始めた。当時で言えば、ありがたいことに個人のお仕事があったりもしておれはバタバタしていて。黒ととーるが「ここは任せろ!」と各地、足を使って探しに行ってくれた。
    今更だけど、ほんとにありがとう。
    そして、何人かとスタジオに入った。
    一緒に「Dousite」合わせたり、飲みに行ったり、新鮮なハウルだった。
    その中で、黒がたまたま出会ったのが、拓郎だった。
    「すげえいいやつ見つけた!」って連絡来たなあ。
    テンション上がって、すぐスタジオ入ろう!なんて言って、ほんとにすぐ入った。
    第一印象「若い」第二印象「かわいい」第三印象「車好きなんだ」だった。
    そしてスタジオに入って、そんな印象は吹っ飛んだ。
    あ〜〜〜〜〜〜〜〜気持ちいい〜〜〜〜〜〜〜ってなった。
    感覚的で申し訳ないけど、歌ってて気持ちいいってのが何よりの信頼材料だった。
    いいベースを弾くのよ、これがまた。
    「いいねえ!!!」なんて褒めてたら、調子に乗って、GOOD BYEでめちゃめちゃ5弦の開放で歪ませてきたから、それはやめてって言った。
    でも、ほんとに気持ちいいベースを弾くやつで、一目惚れだった。
    その後、時間にして3ヶ月くらいかなあ。飲みに行ったり、スタジオに入ったり、長電話したり。
    そして、HOWL BE QUIETのメンバーになることが決まった。
     
    そうなったら、もうやることは一つだ。新曲制作。
    そこまでのスタジオでは、もちろん一曲も拓郎は弾けないわけだから、昔の曲、いわゆる既存曲と言われるものをスタジオで触っていた。
    「Dousite」「GOOD BYE」「Merry」「ファーストレディー」「サネカズラ」etc…。
    書いてて懐かしくなってきた。めちゃめちゃ合わせたなー。まあまあ、そんな過去曲を合わせていたから、新曲は作っていなかった。だから、晴れてメンバーの一人になったからには、新曲制作するしかなかった。そこで初めて持っていった曲はめちゃめちゃダンスナンバーっぽい曲だった。
    変に気合が入ったのか、いま思い出しても「おれ大丈夫?」っていうわけわからん曲だった。
    みんなが恐る恐る、おれに気を遣ってくれながら、スタジオで合わせた。
    ””良くない””。
    笑ってしまう。どうしよう。思い出して笑ってしまう。
    当時のスタジオのカオス具合はほんとひどかった。
    拓郎から言われた「あれ、、ハウルってこういうバンドなんでしたっけ、、、?」という言葉で目を覚ますことになる。血迷ってしまったことを反省しながら、改めて”おれやっぱこういうのが好きなんだよなあ”という曲を持っていった。
     
     
     
    みんなが”これこれ!”と言ってくれた。
    これがやっぱ竹でしょ、なんて言われながら、自分らしいのが書けてよかったと思った。
    何を隠そう、これが記念すべき4人で作る最初の曲になる。
     
    だから、気持ちとして前向きになれる曲が良かったし、ライブでみんなが楽しそうに演ってくれるような曲がいいと思っていたから、ちゃんとそういう曲を持ってこれて安心した。
     
    それが、この「幽霊に会えたら」という曲でした。
    時系列とか、作った順番を無視して、去年の11月の渋谷WWWでは違う新曲を演っていたから、驚く人もいるかと思うけど、これが正真正銘、おれらの最初の1ページ目の曲です。
    今年の春のツアーではアンコールで披露。しっかり伏線回収出来て良かった良かった。
     
    第2章のHOWL BE QUIET。
    おれらしい歌で、幕開けです。
     
    何やら実はMVがあったり、なかったり?
    まあ、お楽しみに。
     
    HOWL BE QUIET
    竹縄航太

     


    〜「幽霊に会えたら」歌詞はこちらから〜
    https://www.uta-net.com/movie/270910/