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    「名脇役」


    「名脇役」
     
     
    これは「名脇役」という曲が出来るまで、そして自分で歌わせてもらうまでのお話。
     
    2017年7月。「Mr.HOLIC」というアルバムを作り、そのアルバムツアーを回り始めた時のことだった。
    仙台公演を終えて、次の日。母方の祖母が仙台近辺に住んでいたため、母と姉とともに祖母の家に遊びに行っていた。小さい頃からよく遊びに行っていたその家は、まるで時間が止まったみたいに何も変わらなかった。それがすごく嬉しくなる。東京での生活に右往左往している毎日から、一時的でも抜け出せたような安心感。心が軽くなった。そして、リビングでみんなでぼんやり話をしている時に、携帯が鳴った。松崎さん(当時ポニーキャニオン、現事務所のマネーシャー)からだった。「Sexy Zoneさんの曲で、歌詞が決まっていない曲があって、そのコンペに出してみないか?」という話だった。自分にとっては夢みたいな話だった。小さい頃、姉がテレビに齧り付くようにSMAPを見ていた横で過ごした自分は、追いかけるように好きになっていった。スマスマの録画を消して姉に怒られたりしながらも、同じように横で噛り付いて見ていた。いろんな彼らが大好きだったけど、やっぱり特に音楽が好きだった。出す曲、出す曲が本当に素敵で、すぐに歌詞を覚えて風呂で熱唱していた。高校に入って初めてギターに触れて、たくさん練習して「夜空ノムコウ」のイントロのギターを弾けるようになった時も嬉しかった。あんなに聴き狂った曲を、自分の手で再現出来たのが嬉しかった。曲を作るようになってからは、コード進行なんかを勉強したり、ワンマンライブを出来るようになってからは、コンサートの映像を見たりなんかして「こんな演出があるのか、、」と勉強どころかただただ感動したり。自分にとっては”ポップス”というものの中心にいたのがジャニーズだった。そんなジャニーズさんからのお話は本当に嬉しかった。ぜひ、やらせてください!と松崎さんにお願いした。そして、デモを聴かせてもらって、すぐに歌詞の制作へ。ツアーと並行しながら、想像を膨らませながら、どんなことを言いたいか、歌ってもらいたいかを考えて、出来た歌詞が「アナタノセイデ」という曲でした。そして、結果にドキドキしながら待つこと1週間。ちょうど広島公演のリハの最中だった。松崎さんからの着信。「竹ちゃん、決まったよ!!」初めての提供の仕事。初めてのジャニーズさんとのお仕事。それが現実になった。嬉しかった。嬉しくて少し飛べてたと思う。そのあとのリハから声1.5倍くらいになってたと思う。報われない歌を書いておいて、報われた。完成した音源を聴いた時は感動したなあ。自分が綴った言葉たちを、Sexy Zoneのみなさんが歌ってくれてるということだけでなく、そこに1も2も10も100もプラスして、命が吹き込まれていて。今までにない体験で、他人事のように「すげえなあ、、」なんて思っていた。そう思ってしまうくらい、素晴らしかった。
     
    発表の時。みんなもすごい喜んでくれたね。Sexy Zoneのファンの方々にも祝ってもらえたり。周りのバンドマンからも連絡もらったり。ようやくここで実感が湧いてきたっけな。何より自分が認めてもらえたみたいで嬉しかった。ありがたいことに少年倶楽部というテレビ番組でも歌ってもらえたり。「アナタノセイデ」を通してHOWL BE QUIETを知ってくれる人もいたりして、あらためて歌詞を提供させてもらえたことに感謝で一杯だった。
     
    そして「アナタノセイデ」が入った「ぎゅっと」というシングルが発売される直前、また松崎さんから連絡をもらった。「来年の春くらいに次はアルバムを出すみたいなんだけど、そこに今度は詞曲提供でコンペに出さないか?」という話だった。もうHPはゼロです!ってくらい心が満たされていたから、追撃の嬉しい話は瀕死の僕には耐えきれないくらい嬉しい話だった。「ぜひ、やらせてください!」という僕のまっすぐな言葉に返された台詞は「ちなみに締切5日後なんだけど、、」という無情なほど現実的な言葉だった。5日後。やばすぎる。普通に考えたらまず出来ない。絶望的なスケジュール。でも。それでもやりたかった。作詞をやらせて頂いたことは嬉しかったけど、やっぱり自分の曲も歌ってもらえたら、そんな幸せなことはないし、どんなスケジュールだとしても、最高なものを作り出して、コンペに出したいと思った。「全く問題ないです(震え声)」と答え、すぐに制作へ。自分で詞曲を作るのだから、極論言えば、どんなものでもいい。明るくハッピーな盛り上がりそうな曲でも、ゆったり身体を揺らしながら聴けるミッドテンポな曲でも、しっとり聴いてもらえるようなバラードでも。数々の名曲がたくさん溢れている。ただ、自分でやらせてもらうと考えた時に一番に思ったのは、何年経っても色褪せないバラードを書きたいということだった。横に並べると驕るほどバカじゃない。でも、そんな曲を作りたかった。挑んでみたかった。そんな歌を歌って欲しかった。そして、やっぱり報われない歌を歌って欲しかった。世の中、恋愛でも仕事でも上手くいくことの方が少なくて、報われないことと合間見えながら生きている中で、彼らが歌ってくれたら、それほど説得力があり、報われることはないだろうと思った。もはや自分が救われたかった。そンな一心でピアノに向かい、出来上がったのが「名脇役」という曲でした。
     
    そして、時が経ち、連絡をもらった。「決まったよ!」って。
    天にも昇る思い、いや、ちょっと天界に顔ぐらいは出したかもしれない。とにかく嬉しかった。
    そして重ねて嬉しかったのは、曲のアレンジも自分のを中心に作りたいということだった。
    次から次へと嬉しい尽くしで、このライナーノーツも嬉しいばかりで申し訳ないが、嬉しいもんは嬉しいんだから仕方ないのです。
     
    アレンジが完成して、次の嬉しいがすぐにやってきた。
    「この曲のピアノレコーディング、竹縄くん弾きませんか?」
    すぐ弾きます。弾かせてください。ものすごい熱量で伝え、実際に自分がピアノを弾かせて頂くことに。
    いざ、行ったレコーディングはものすっごい緊張した。普段、お会いすることのないジャニーズ事務所の方々や、プロデューサーやレーベルの方々など、たくさんの人に見られながら、一人で入るピアノブース。ミスしたら、人生終わる、、(めちゃめちゃ主観です)という勝手なプレッシャーを感じながらも、なんとか無事に弾ききることが出来て良かった。
     
    その後、ボーカルレコーディングも終わったということで、完成した音源が送られてきた。
    本当に、なんというか、陳腐な表現ではあるけれど、感動した。涙が出た。自分が6畳1Kの部屋で作った曲を、綴った言葉を、彼らが歌っている。夢でも見てるようだった。あんなに狭い部屋で生まれたものが、羽ばたいた瞬間だった。自分がやってきたことは間違いじゃなかった、と背中を押してもらうような。そんな気持ちで満たされた。
     
    これは余談ですが、実は「名脇役」というタイトルは途中で変わるかもしれませんでした。僕自身もこの曲を作った時に、自分で歌うならまだしも、彼らに”脇役”という言葉がついたタイトルでいいんだろうか?と考えたりもして。しかし色々意見も行ったり来たりして結果的に、この曲、この歌詞には「名脇役」だろうとなり、当初の自分の提案が形になった。
     
    発表のツイートをした時も、本当にたくさんの温かい言葉を頂きました。それもすごく自分にとってはありがたくて、安心しました。怖くないと言えば、それは嘘になってしまうわけで。自分が作らせてもらってる以上、この曲を好きになってもらえたらと思うし、まして嫌われたらどうしようなんて思ったりもして、色んな意味でドキドキしていたので、すごく嬉しかったです。そのあとのラジオでの初解禁を聴いて、ついついエゴサしてしまったり、テレビでもまた歌って頂いて、それもまたエゴサするくらいに気にしてました。今だから言えること。ほんとにドキドキしたのよ。ありがたいことに、色んな人に反応してもらえて。歌詞サイトでもたくさんの人に見てもらって一時ランキングに載ったりなど、嬉しいことばかりでした。
     
     
     
    そして、少し時間が経って、Sexy Zoneさんのアルバムツアーを観に、横浜アリーナへ。
    ジャニーズさんのコンサート映像はこれでもかってほど、色んなアーティストさんのを観てきたけど、生で観るのはSexy Zoneさんが初で、ものすっごい楽しみしてました。もう一挙手一投足、細部まで本当にプロフェッショナルで、これがまさにエンターテイメントなんだと衝撃を受けながら見てました。初めて「ほえ〜〜」って口に出ました。ほんとすごかった。名脇役歌ってくれるのかなあ、、?なんて始まるまで思ってたけど、始まってからまじでどうでもよくなりました。男ながら客席をゴンドラ?に乗って回ってくれる演出の時「えっ!えっ!今目合った気がする!」ってなってました。その後の名脇役はもうやばかった。中島くんがピアノを弾いている。これだけでもうお腹一杯になりそうなくらい。一人一人の歌にも感動し、それを聴く1万人のお客さんの光景にも感動しました。6畳の部屋で観客ゼロだったのに。大きく羽ばたいてくれて、とても嬉しい気持ちでした。
     
    ライブが終わったあと、ご挨拶させてもらい「名脇役を作らせてもらいました竹縄です」と言うと、口を揃えて「あんなに良い曲をありがとうございます!」と言って頂いて、もうぶっ倒れそうでした。こちらがありがとうの気持ちで一杯でしたから。ライブでも歌ってもらえて、嬉しい限りでした。
     
    時は流れ、2019年。
    ようやくHOWL BE QUIETの話へ。
     
    アルバム制作をしている中で、この2年間をなかったことにしたくない、という思いがメンバーの中にあった。
    何もしていなかったわけではないし、決して止まっていたわけでもない。外からはそう見られてたと思うけど。
    その上で「名脇役」は間違いなく、この2年の中で、おれらを生かし続けてくれたものの一つだった。
    Sexy Zoneさんに提供したもの、そもそも自分が歌うことなんて微塵も考えてない。それが「名脇役」。だから、ツイキャスとか、色んな場所で「歌ってほしい」と言われても、出来る限り見ず、聞かずを貫いた。それが自分にとっての礼節だったからです。もちろんカバーの否定ではありません。あくまで、自分の中で”そう決めた”というだけなので。ただ、やっぱり聴くならおれの声じゃなくて、彼らの声で聴いてほしいという思いはあった。だから自分はこれからもSexy Zoneさんが歌っていってくれたら嬉しいし、それだけで充分です。今でもそれは思う。
     
    ではなぜ今回、セルフカバーが入っているのか。そのきっかけは3~4月で回るツアーに向けたセットリストの話の時だった。
    ずっとリリースがない中で、メンバーチェンジがあったりもする中で、それでもついてきてくれているお客さんに”久しぶりの曲を演奏する”とかではなく、ちゃんと今回は特別な思いで演ってるよ、という気持ちが伝わるものを返したかった。そして、話に上がったのが「名脇役」だった。ずっと歌って欲しいという声を無視してきた自分にとって、今更それをライブで演るのはどうなんだ?と思いつつ、でも、ずっと求めてくれているものを返す時が来たんじゃないかとも思った。それぐらいあのツアーは特別だった。拓郎が入って、初めての全国ツアー。リスタートの狼煙をあげるツアー。みんなにおれらまだまだ行くからな!って証明したかった。これからもついてきて欲しかった。そんな思いで、今回のツアーだけにするから、名脇役を歌わせてもらえないだろうか?とスタッフに相談した。そして、その僕らの思いをジャニーズに伝えてくれた。快諾してくれた。ありがたかった。名も売れてないミュージシャンが、ジャニーズの曲を自分らのライブでやりたいなんて、無謀だと思ったし、許可が下りるわけないと思っていたから、その思いに感謝しかなかった。そして、3~4月のツアーでは、感謝の気持ちも込めて「名脇役」を弾き語りで歌わせてもらった。そして、打ち上げだっけかな?でふと話題に出た。「いつかバンドで出来たらいいね〜」なんて。ほんとにいつかの話。いつかが来ないのが当たり前だ。でも、その話を聞いていたスタッフが、実が裏で動いてくれていた。4月21日、渋谷QUATTROでの自分の弾き語りを動画に収めていて、それを持って、ジャニーズに話をしに行ってくれていた。次のアルバムに「名脇役」のセルフカバーを入れさせてもらえませんか?と。あとから聞いた話だったから、その時は驚きしかなかったけど、本当に感謝しかないんだ。こういうスタッフがいてくれるから、おれらはまだ歌えてるんだ。おれらの代わりに死ぬ気で動いてくれるスタッフのおかげで、いろんな奇跡が生まれてる。そして、その返答はOKだった。自分のあの日の弾き語りを見て「良い弾き語りですね」と言って下さり、挙句、またも名曲をありがとうございますなんて言って頂き、全然歌ってくださいと快諾して下さった。もうどれだけ感謝したら良いのかわからない。でも、言えることはありがとうしかないから、ちゃんと形として返せたらと思うなあ。
     
    そして、後日スタッフからその流れを説明され、最初は戸惑った。
    でも、スタッフが死ぬ気で取ってきてくれたOK。そしてそれを快諾して下さったジャニーズ。その思いをは反故にするのも違うと思った。むしろこんなにありがたい協力を、おれのちっぽけなプライドで断ることこそ、礼に反すると思った。だから、死ぬ気で。Sexy Zoneの「名脇役」を聴いてる人にも、届くようなハウルの「名脇役」を作ることに、その時決めたんだ。
     
    だから、今回この曲が入っているのは、この2年間を形にしたいおれらの思いだけでなく、色んな人の思い、協力あってのものなんです。おれらだけでは決してここまで来れなかった。おれが歌うことなんてもう一生ないと思ってた。それをもう一度、現実にしてくれたから、おれらはその感謝も込めて、HOWL BE QUIETとして最高の「名脇役」を入れることにしました。
     
    これが今回の「名脇役」が生まれ、セルフカバーに至るまで
    です。
     
    ただ、何度でも言います。「名脇役」はSexy Zoneの曲です。そして、おれらはセルフカバーです。
    おれが全力で作ったこの曲はSexy Zoneのために書きました。だから、いつになってもこの曲は彼らの作品です。
    でも、こうやって今回歌わせてもらえたこと、心よりハウルチーム、事務所、スタッフ、そしてジャニーズさんに感謝したいと思います。
     
    この思い、無駄にしないよう、精一杯歌います。
     
    HOWL BE QUIET
    竹縄航太

     


    〜「名脇役」歌詞はこちらから〜
    https://www.uta-net.com/song/270911/